酒場の珍事
私の高校時代からの友人は、なぜかみんな酒が強い。類が友を呼んだのか、長年一緒に飲んでいるから強くなっていったのかは不明。全員女性なんですけどね。
彼女達との飲み会は延々何時間も続くので、いまや家族の者は心得ていて「えっ?飲み会。そのメンバーなら今日中には帰って来ないね」と、淡々としたものだ。
この旧友と飲むと、何かしらけったいな事がおこるので、それがまた楽しい。

先日も大阪で飲んだ時のことだ。この日のメンバーは、イラストレーターのオカムラ、元看護婦で今は女子大生のオオグロと私の三人。まずはJR天満駅付近のリーズナブルな店で飲み、次はオカムラの案内でクラゲの水槽がある不思議なショットバーへ行った。小さな円形のテーブルを囲んで、立ったまま飲むところで、その日はなぜか店の中には私たちとバーテンダーがひとりだけ。

ほろ酔いで話も盛り上がり、わっはっはと大声で笑った瞬間、ガッタ〜ン!!ともの凄い音がした。驚いた私は、何事かと辺りを見渡した。すると足元に直径30センチ、長さ50センチもある丸太が落ちているではないか。
何?なんで丸太がこんな所に落ちてんの?
酔って何かを蹴飛ばして、何処からか落ちてきたのだろうか。あわてた私は、その太った幼児ほど重い丸太を抱いて「ちょ〜っと〜、これどこから落ちてきたの」
オロオロしていると、いつも自分を見失わないクールなオカムラが一言。
「それ足置きちがうの」

そう、それは初めから足元にあったのだ。ちょっと足を動かした時にスチール製のテーブルの脚にゴンとぶつかっただけだった。どういうわけやら私には大音響に聞こえ、しらふの思考回路とは違ったスイッチが働き、丸太が降ってきたのだと、とっさに思ってしまった。丸太を抱いた間抜けな私を指差し、「面白すぎる〜!!!」とオオグロは大笑い。

私も、あまりの情けなさに爆笑。
ふたりが涙を流しながら大笑いするのを、オカムラとバーテンダーが「馬鹿じゃないの」といった冷めた眼で見つめ、その視線にふと笑いを止める、静寂な空気が戻る。するとまたオオグロと顔を見合わせて爆笑。そしてまたオカムラとバーテンダーの冷めた視線・・静寂・・爆笑・・静寂・・
もう完全に笑いの循環ができてしまい、その夜は息をするのも苦しい程笑い続けたのだった。

みなさんも酔って丸太を抱いたことありませんか?
あるわけないか・・
(2002.9.9)

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