嘘つき
仕事の依頼者と制作者の関係において、最も許されない嘘は支払い日を守らないことだと思う。守れない理由はたいてい売り上げの見込み違いや、不測の事態が起るなどしてその日までに資金繰りがうまくいかなかったということであろう。しかし良識ある依頼者は早急に支払いを済ますよう努力する。最初から支払い条件を守れないのに依頼するという悪質なケースはほとんどない。

だが不覚にも、わたしはこの悪質なケースに陥ってしまった。
昨年ある人の紹介で、とんでもない嘘つきM社長の仕事を半年間引き受けてしまったのだ。このM社長、スケジュールや制作費などが非常に厳しい条件のため最初はこちらに恐縮しつつ依頼。満足いく仕上がりに感謝の意を示しながら、次々とポスターや販促物の制作依頼をしてくれた・・・とまあそこまでは良かった。だが次第にこの会社は支払い期限をずるずると守らないようになっていった。これはやばいという予感がして、わたしは今年になってこの会社の仕事を下りた。

それから今日まで督促の電話をするたびに、M社長の態度の豹変に怒りを通り越して、唖然としている。 まずすぐにわかる嘘をつく。例えば「経理のT君に現金を渡したからT君に聞いてくれ」と言う。出張先のT氏に電話をする。すぐにそんな事実はないとわかる・・・というような馬鹿馬鹿しさだ。言い訳のためにさらに奇想天外な嘘を上塗りする。揚げ句の果てに「払わないといってるわけじゃないだろう!」と逆ギレして受話器をガッシャーン!である。わたしが彼の立場なら、こんなことはとても恥ずかしくてできないだろう。どんどん自分を貶めていくことになるからだ。

問題が起こったらbe honest!(正直であれ)だ。よく言われることであるが、ひとつの嘘はそれを隠すためにさらに雪だるま式に嘘を作り上げてしまう。追及された末、最後には身動きがとれなくなり社会的信用や仲間との信頼関係など多くの大切なものを失う。ならば最初に潔く謝罪し解決策を示すべきだ。 逆ギレしたM社長とはもうコミュニケーションが成り立たない。あ〜あ、ひたすら督促状を送りつづけるしかないのだろうか。

そうそうところでこのM社長、なんと先日の統一地方選に立候補していたのだ。非常に閑散とした選挙事務所だったらしく、たまたま見かけた友人が驚いていた。結果はやはり落選。嘘つきはみんなの信頼を得られないから当然ですよね。
(2003.4.16)

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